体外受精についてivf

体外受精について

国内で年間2万人の赤ちゃんが生まれている、妊娠率の高い治療法。

体外受精(IVF-ET)とは、女性の卵巣内にある卵子を取り出し、体外でパートナーの男性の精子と受精させ、受精卵を再び子宮に戻して着床させる治療法です。
日本では体外受精により年間2万人もの赤ちゃんが生まれています。タイミング法や人工授精より医療介入度が高いですが、妊娠率の高い不妊治療です。

体外受精 (IVF-ET)

通常の体外受精(IVF-ET)では、卵巣から取り出した卵子をシャーレの中で精子と出会わせて受精させます。受精卵を培養し、着床寸前の状態まで発育させてから、細いカテーテルを使って子宮内に戻します。

顕微授精 (ICSI)

顕微授精(ICSI)は、精子の数や質に問題があるなどで、体外で自然受精できない時に行います。精子と卵子を体外で受精させて、子宮に戻すという点で体外受精とほぼ同じ流れですが、顕微授精では細いガラスの針で1個の精子を卵子に注入して受精させます。受精率は80%ぐらいです。

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体外受精の対象となる患者様

卵管性不妊

卵管が詰まっていたり、周囲と癒着しているなどの問題があると、精子が通れないので受精できません。このような場合は体外受精をおすすめします。

男性不妊

精子の数が少ない・動きが悪いなどの問題がある場合は受精できません。体外受精では元気な精子であれば、卵子と出会うことで、卵子と出会うことで、受精できる確率は上がりますが、重度の男性不妊の場合は顕微授精の適用となります。

子宮内膜症

子宮内膜症とは、本来は子宮の中にしかない子宮内膜の組織が、卵巣や卵管など子宮以外の場所にできてしまう病気です。子宮内膜症が必ずしも不妊の原因になるとは限りませんが、半数程の確率で不妊症を引き起こすと言われています。軽度の場合は自然妊娠も目指せますが、基本的に体外受精での治療になります。

抗精子抗体陽性

抗精子抗体とは頸管粘液、子宮膣、卵管内に出現する抗体で、女性の体内にこの抗体が作られると、精子は活動できなくなってしまいます。この場合、体外受精のみが有効な治療法となります。

原因不明の機能性不妊

タイミング法や人工授精を一定期間受けても妊娠せず、不妊の原因が見つからない患者様は「機能性不妊」と診断されます。不妊症カップルの10縲鰀15%が機能性不妊に該当します。 この場合は、体外受精による治療へと切り替えた方が妊娠できる確率は高くなります。

高齢やホルモンの問題などによる卵子の質異常

体と同じように卵子も年を取り、減少したり質が落ちたりします。また、受精卵を子宮内膜へ着床させる働きや、妊娠しやすいよう体内環境を整える「黄体ホルモン」に問題がある場合も、卵子に影響を与えます。卵子の質や量に問題がある場合も体外受精の対象となります。

顕微授精の対象となる患者様

  • 精子の受精能力の低下(精子数が少ない、運動率が低い、奇形が多い)
  • 卵子透明帯異常(卵子を覆っている透明帯に問題がある場合)
  • 原因不明受精障害
  • 睾丸精子あるいは精巣上体精子を用いた体外受精の場合

体外受精の流れ

  • 卵巣刺激(排卵誘発)

    一度に多数の卵子を得て、妊娠率の向上をはかるため、ホルモン剤や排卵誘発剤を投与します。
    (患者様の体の状況、ご要望等により、刺激方法が決定します)

  • 採卵・採精

    卵子が成熟したら、採卵用の針を使って体外に取り出します。当院では麻酔(静脈麻酔・局所麻酔)を用いて痛みを十分に抑えるのでご安心ください。採卵に必要な時間は量にもよりますが、概ね5縲鰀10分程度です。また、採卵と同じ日に精子を採取します。
    射精後2時間以内にお届けいただける場合はご自宅で採取していただいても大丈夫ですが、クリニック内に採精室もご用意しております。

    【1.採卵・採精 2日前】

    卵子の状態を確認し、採卵日を決定する。

    【2.採卵・採精 2日前の夜】

    夜9時縲鰀11時頃に排卵を起こさせる薬剤を投与、その36時間後に採卵を行う。

    【3.採卵・採精 当日】

    朝8時縲鰀10時に採卵を行う。男性パートナーは精液を採取。(射精後2時間以内)

  • 受 精

    シャーレ上で卵子に精子をふりかけ、受精するのを待ちます。
    顕微授精の場合は、精子を直接卵子の細胞質内に入れて、受精卵を作ります。

  • 培養

    受精卵を培養液で培養します。受精後2~3日目で初期胚に発育し、5日目には胚盤胞に発育します。

  • 胚移植

    初期胚または胚盤胞まで育った胚の中から、患者様と相談の上、戻す胚を決定し、カテーテルを使って子宮内へ戻します。

  • 妊娠診断

    胚移植から5〜7日程で血液検査により妊娠判断を行います。

       

体外授精のリスク

・採卵の穿刺の際、出血のリスクがあります。経腟超音波で血管の位置を把握すること、細い穿刺針を使用することなど、リスクを最小限にする工夫を行なっています。
・採卵の穿刺の際、痛みのリスクがあります。局所麻酔薬または静脈麻酔を使用しています。
・複数の卵子を採取することを目的に排卵誘発を行なった際には、「卵巣過剰刺激症候群」を発症する可能性があります。
 その発症予防としては、
①高刺激(連日排卵誘発剤を投与する方法)を行なう際、ロング法やショート法ではなく、アンタゴニスト法とすること
②採卵前のトリガー(卵子を成熟させる薬剤の投与)をHCG注射ではなく、GnRhアゴニスト(スプレキュアやブセレキュア等)とすること
③採卵後、新鮮胚移植を行ない妊娠すると、HCGホルモンの作用によって発症リスクが高くなるため、いったん胚凍結を行ない、別の月経周期で移植すること
などの方法によって、卵巣過剰刺激症候群のリスクを低下させることができます。