卵子凍結
卵子凍結は『将来の妊娠に備え、卵子を凍結保存しておくこと』を言います。
女性はどなたでもいつかは閉経を迎えますが、その過程の加齢による卵巣機能や卵子の質の低下によって、妊娠力は徐々に低下していきます。
卵子凍結の技術は、「卵子の時間を止めておく技術」とも言えるかもしれません。
卵子凍結の背景
「がんや病気の治療による妊娠率低下を防ぐため、医学適応により治療の前に卵子を凍結保存する場合(医学的卵子凍結)」と「妊娠・出産時期を遅らせたいなどの事情で卵子を凍結保存する場合(社会的卵子凍結)」があります。
当院では社会的卵子凍結に応じており、以下のようなご相談があります。
・まだ未婚でしばらく仕事に専念したいので、妊娠はもう少し先に考えたい
・結婚しているが、妊娠に対してご主人がまだ積極的になれない
・パートナーが海外等、遠方に在住で、すぐに妊娠を考えることが難しい 等
卵子凍結による妊娠率
採卵によって採取した卵子のうち成熟卵のみが凍結可能です。
融解後に生存していた卵子に体外受精や顕微授精を行い、正常な受精卵となった胚を子宮内に移植します。
一般的に、融解後の生存率は約40~50%と言われていますが、凍結時の年齢や個人によって差があります。
正常に受精し、胚盤胞になった際の妊娠率は、通常の体外受精における妊娠率と大きな差異はないと考えられますが、まだ調査中にところでもあります。
当院での卵子凍結の流れ
初診で十分な問診と説明を行った後、検査(血液検査・内診など)を受けていただき、検査結果を踏まえて患者さま一人ひとりに最適な治療法を選択していきます。
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一度に多数の卵子を得て、妊娠率の向上をはかるため、ホルモン剤や排卵誘発剤を投与します。(患者様の体の状況、ご要望等により、刺激方法が決定します)
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卵子が成熟したら、採卵用の針を使って体外に取り出します。当院では麻酔(静脈麻酔・局所麻酔)を用いて痛みを十分に抑えるのでご安心ください。採卵に必要な時間は量にもよりますが、概ね5分から10分程度です
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卵子の成熟度を確認するため、卵子の周囲に付着している卵丘細胞を除去する作業(裸化)を行います。
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裸化後は、成熟卵子(MⅡ卵子)のみが卵子凍結対象になります。
卵子凍結の費用
「排卵誘発」「採卵」「卵子凍結」等、治療経過に関わる費用は、通常の体外受精の費用に準じて行っています。
当院の特徴として、「卵子の保存更新料」につきましては、「1回の採卵で凍結した卵子はすべて一括料金(55000円)のみで更新しております。
卵子凍結は多数の卵子を凍結しておくことになりますので、「1個あたり」や「クライオトップ1本あたり」という金額設定では長期に渡り、多額の更新料を払い続ける必要が生じます。今後、料金の改定等がございましても、一括で更新できるという方針を変更する予定はございません。