院長ノートnotes

不妊症に悩む夫婦の割合が増えている?

こんにちは。
オリーブレディースクリニック院長の山中智哉と申します。


この記事を読んでくださっている方の中には、これから妊娠を考えている方や、現在すでに不妊治療をしている方もいらっしゃるかもしれません。
あるいは、妊娠はまだまだ先と考えている方の中にも、いくらかそのことを気に留めていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
このブログでは、不妊治療にまつわるトピックスなどを取り上げながら、専門的な意見や考えをできるだけわかりやすくお伝えしていきたいと思います。




不妊症に悩み、不妊治療を受ける夫婦の割合が増えている


「不妊症」や「不妊治療」あるいは「妊活」という言葉を、最近ではテレビや雑誌などのメディアを通してよく耳にするようになりました。
現在妊活中のご夫婦だけでなく、これから妊娠を考える女性にとっても、いくらか気になる話題になっているのではないでしょうか。


実際に、10年ほど前までは「10組のご夫婦のうち1組が不妊治療を受けている」といわれていましたが、最近ではその10組が「6組に1組」とまでいわれるようになり、不妊治療を受けるご夫婦の割合が増えています。
なぜ近年、不妊治療を受けるご夫婦が増えているのでしょうか。


不妊症の原因についてインターネットなどで調べてみると、「女性の原因」や「男性の原因」など、たくさんの項目が出てくるかと思います。
今回は、その中のひとつ「年齢の影響」についてお話ししたいと思います。




不妊症の原因のひとつに加齢がある、と注目されるようになった背景


2012年2月、あるテレビ番組で「卵子の老化」が取り上げられました。
それまでも、「年齢とともに妊娠率が下がる」ということは、あたりまえに知られていましたが、「卵子自体が老化する」という表現は、一般の方々にとってもかなりのインパクトを与えたのではないでしょうか。


こうして不妊症と加齢の関係に注目が集まるようになってきた背景のひとつに、晩婚化の影響があげられます。
2015年の厚生労働省の人口動態統計(概数)によると、男性の平均初婚年齢は31.1歳、女性の平均初婚年齢は29.4歳となっており、2001年と比較すると男性、女性ともに2歳ずつ上昇し、今後も上昇傾向にあることが予測されています。
また、1971年から1974年までの第二次ベビーブームに生まれた方々が、現在43~46歳となり、40代で妊娠を考えられる方が増えていることも、ここ数年、不妊治療が取り上げられるようになった要因のひとつと考えられます。




年齢を重ねると妊娠率が下がる理由は?


ニュースなどで「50代で妊娠、出産された女性」の話題が取り上げられることがあります。
著名人が妊娠したということで報道されているケースもありますが、50代での出産というのはニュースになるほど極めてまれなことでもあります。
日本産科婦人科学会のデータでも、45歳以上の体外受精の妊娠率は1%程度と報告されています。


卵子はひとつの細胞で、細胞の中にはミトコンドリアという「細胞が活動するためのエネルギーを産生する細胞器官」があります。
そのミトコンドリアの働きが加齢とともに悪くなり、卵子が受精卵となりその後成長していく力が失われていくことが、卵子の老化が妊娠に与える影響のメカニズムのひとつとして知られています。


一説によると、女性が閉経する、つまり生理が止まってしまう年齢の10年ほど前から妊娠する力が落ちてきているという話があります。
一般的に閉経の年齢は45~55歳で、ほとんどの方が50歳前後で閉経となります。


それを照らし合わせると、35歳以降から徐々に妊娠率が下がり始め、45歳には妊娠率が極めて低くなるという実際の妊娠率のデータとも一致しています。
逆に考えると、月経が何歳くらいまで順調にきそうなのか、あるいは若くして急に閉経してしまう可能性はないか、ということがわかれば、ある程度、それに沿った対策を考えることができます。


次回は、そういった視点から不妊治療についてさらに掘り下げていきたいと思います。




オリーブレディースクリニック麻布十番 院長 山中

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