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二段階移植とSEET法

二段階移植

初期胚を先に移植することで子宮内の着床環境を整え、次に移植する胚盤胞がより高い確率で着床することをねらいとした方法が二段階移植と呼ばれるものです。この方法は、反復ART不成功例に対する移植方法として用いられ、良好な成績を得ています。

初期胚:卵子と精子を受精後、2~3日間培養した状態を初期胚(分割胚)といいます。
胚盤胞:卵子と精子を受精後、5~6日間培養した状態を胚盤胞といいます。

 

[二段階移植の注意点]
・凍結した「初期胚」と「胚盤胞」の二つの胚が必要となります。
・二つの胚を移植することにより多胎となる可能性があります。
・費用は、初期胚は通常の胚移植料金、胚盤胞の移植は半額の胚移植料金としています。

 

[概要]
SEET法の項で記載の通り、受精卵の子宮内膜への着床に関して、受精卵由来のシグナルが子宮内膜を刺激し、着床が促されることが報告されています。
二段階移植は、初期胚(2日目または3日目の胚)を先に移植することで、上記のシグナルの発生を助長し、その後に移植する胚盤胞の着床を促す方法です。
また以下の項に記載の二個移植と同様、胚を二個移植することになりますので、二個のうちのどちらか、あるいは両方が着床する可能性あります。日本産科婦人科学会の規定に準じ、女性の年齢が35歳以上、あるいは34歳以下の場合は2回以上の反復不成功例の場合に検討する方法です。

 

[方法]
1回の胚移植周期の中で、2日目または3日目にそれに相応する初期胚を1個、5日目に胚盤胞を1個移植します。

 

[注意点・リスク]
・二個の胚が着床した場合、二卵性双胎となる可能性があります。
 また稀ではありますが、一個の胚が一卵性双胎となった場合、品胎以上となるリスクもあります。
・着床や妊娠の成立を保証するものではありません。
・清潔操作で行ないますので、子宮内感染のリスクは非常に低いものですが、予防的に施術後に抗生剤を処方しています。

 

[費用]
1段階目の胚移植費用:88,000円
2段階目の胚移植費用:44,000円
(胚の融解費用はそれぞれにかかります。費用:一個33,000円)

 

 

 

SEET法(シート法)

二段階移植は、胚を2個入れているので多胎になるリスクもあります。そこで考案されたのが、SEET液移植です。二段階移植で初期胚をいれる代わりに胚培養した時の培養液を移植する方法です。培養液中の胚由来の因子により子宮内膜を刺激し、胚盤胞が着床するための準備を促します。実際に移植する胚の個数は1個なので、多胎になるリスクは低くなります。受精卵を5日間または6日間培養し胚盤胞に育ったら、一旦その胚を凍結し、別にその胚を培養するのに用いた培養液を別に凍結しておきます。

 

[概要]
受精卵の子宮内膜への着床に関して、受精卵由来のシグナルが子宮内膜を刺激し、着床が促されることが報告されています。
SEET法は、胚盤胞の着床率向上のため、胚移植の前に胚盤胞を培養していた培養液を子宮内に注入しておくことで、上記のシグナルを伝える方法です。

 

[方法]
受精卵を胚盤胞培養し凍結する際、同時に、その胚盤胞を培養していた培養液を凍結しておきます(SEET液といいます)。
胚移植を行なう周期において、胚盤胞を融解胚移植する2~3日前に、上記のSEET液を子宮内に注入します。胚移植周期1回の中で、一度だけの治療となります。

 

[注意点・リスク]
・胚盤胞を凍結時にSEET液を凍結していない場合、行なうことができません。
・希望された患者様や、反復不成功例など医師が必要と考えた場合に御提案をしています。
・着床や妊娠の成立を保証するものではありません。
・清潔操作で行ないますので、子宮内感染のリスクは非常に低いものですが、予防的に施術後に抗生剤を処方しています。

 

[費用]
SEET液凍結:11,000円
SEET液注入:22,000円
(SEET液を凍結しても、胚盤胞の凍結ができなかった場合は、SEET液の凍結代はいただかず、SEET液は破棄とさせていただきます。)

 

 

 

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