診療・検査medical

胚移植について

 

新鮮胚移植

採卵と同じ周期に移植する方法を新鮮胚移植といいます。

 

[新鮮胚移植のリスク]
・採卵後、新鮮胚移植を予定していた場合でも、移植日までに適切に発育した胚がなかった場合には、移植を中止することになります。
・通常、胚移植は大きな痛みを伴うことはありませんが、子宮口が極端に狭かったり、子宮の屈曲が強い場合には、多少の痛みや違和感を伴う場合があります。

 

凍結融解胚移植

一度凍結してから、採卵周期とは別の周期で子宮内膜の環境が良い時に、胚を融解し、移植する方法を凍結融解胚移植といいます。

 

[凍結融解胚移植のリスク]
・胚の凍結あるいは融解の過程で、約3~5%の可能性で胚の変性などが生じることがあるといわれています。
・通常、胚移植は大きな痛みを伴うことはありませんが、子宮口が極端に狭かったり、子宮の屈曲が強い場合には、多少の痛みや違和感を伴う場合があります。

 

アシステッドハッチング

移植当日、凍結胚を融かして子宮に戻します。胚には透明帯と呼ばれる殻があります。この殻から出て内膜に着床します。この殻が、年齢や胚の凍結によって硬くなると、胚が殻を破れずに着床できない場合があります。そこで、融解後にこの殻の一部を取り除いてあげることで、殻から出てきやすくするのが、このアシステッドハッチングまたはAHAという方法になります。当院ではレーザーを用いてより安全かつ正確にアシステッドハッチングを行っています。

 

[アシステッドハッチングのリスク]
・当院ではレーザーを用いてアシスティッドハッチングを行なっています。レーザーが胚に直接照射されると変性のリスクがあるため、胚と透明帯の間に隙間がある時期に施行することで、そのリスクを回避しています。

 

SEET法(シート法)

二段階移植は、胚を2個入れているので多胎になるリスクもあります。そこで考案されたのが、SEET液移植です。二段階移植で初期胚をいれる代わりに胚培養した時の培養液を移植する方法です。培養液中の胚由来の因子により子宮内膜を刺激し、胚盤胞が着床するための準備を促します。実際に移植する胚の個数は1個なので、多胎になるリスクは低くなります。受精卵を5日間または6日間培養し胚盤胞に育ったら、一旦その胚を凍結し、別にその胚を培養するのに用いた培養液を別に凍結しておきます。

 

[概要]
受精卵の子宮内膜への着床に関して、受精卵由来のシグナルが子宮内膜を刺激し、着床が促されることが報告されています。
SEET法は、胚盤胞の着床率向上のため、胚移植の前に胚盤胞を培養していた培養液を子宮内に注入しておくことで、上記のシグナルを伝える方法です。

 

[方法]
受精卵を胚盤胞培養し凍結する際、同時に、その胚盤胞を培養していた培養液を凍結しておきます(SEET液といいます)。
胚移植を行なう周期において、胚盤胞を融解胚移植する2~3日前に、上記のSEET液を子宮内に注入します。胚移植周期1回の中で、一度だけの治療となります。

 

[注意点・リスク]
・胚盤胞を凍結時にSEET液を凍結していない場合、行なうことができません。
・希望された患者様や、反復不成功例など医師が必要と考えた場合に御提案をしています。
・着床や妊娠の成立を保証するものではありません。
・清潔操作で行ないますので、子宮内感染のリスクは非常に低いものですが、予防的に施術後に抗生剤を処方しています。

 

[費用]
SEET液凍結:11,000円
SEET液注入:22,000円
(SEET液を凍結しても、胚盤胞の凍結ができなかった場合は、SEET液の凍結代はいただかず、SEET液は破棄とさせていただきます。)

 

二段階移植

初期胚を先に移植することで子宮内の着床環境を整え、次に移植する胚盤胞がより高い確率で着床することをねらいとした方法が二段階移植と呼ばれるものです。この方法は、反復ART不成功例に対する移植方法として用いられ、良好な成績を得ています。

 

[二段階移植のリスク]
・胚を二つ移植することになるため、双胎となる可能性があります。ごくまれに、二つのうちの一つが一卵性双胎となることにより品胎となる例もあります。

 

二個移植

初期胚または胚盤胞を同時に二個移植する方法です。

 

[概要]
体外受精において得られた胚は、元々の胚の異常等により、すべてが着床し妊娠となるわけではありません。
二個胚移植は、胚移植を行なう際に、同時に二個の胚を移植する方法です。一個の胚を移植する場合と比較して、二個のうちのどちらか、あるいは両方が着床する可能性あるため、1回の胚移植に対する着床率が上昇すると報告されています。
日本産科婦人科学会の規定では、女性の年齢が35歳以上、あるいは34歳以下の場合は2回以上の反復不成功例の場合に、胚の二個移植が認められています。

 

[方法]
胚移植当日に、二個の胚を準備し、子宮内に移植します。

 

[注意点・リスク]
・二個の胚が着床した場合、二卵性双胎となる可能性があります。
 また稀ではありますが、一個の胚が一卵性双胎となった場合、品胎以上となるリスクもあります。
・当院は学会の規定に従った上で、移植する胚のグレードなども考慮して、二個胚移植を行なうかどうかを決めています。
・着床や妊娠の成立を保証するものではありません。
・清潔操作で行ないますので、子宮内感染のリスクは非常に低いものですが、予防的に施術後に抗生剤を処方しています。

 

[費用]
下記のうち、施行した技術の合算が総費用となります。
・二個胚移植においても、胚移植費用は胚移植1回分となります。
 胚移植費用:88,000円
・融解胚移植の場合、胚の融解費用は二個分の費用となります。
 胚融解費用:一個33,000円×2=66,000円
・アシスティッドハッチングを行なった場合、二個に行なっても、費用は一個分としています。
 アシスティッドハッチング費用:22,000円

 

エンブリオグルー

エンブリオグルーはヒアルロン酸を添加することで胚が子宮内膜に着床しやすくする効果を目的としています。

 

移植個数について(日本産婦人科学会会告より)

生殖補助医療における多胎妊娠防止に関する見解

生殖補助医療に胚移植において、移植する胚は原則として単一とする。ただし35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては、2胚移植を許容する。 (日本産科婦人科学会会告より抜粋)

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